小学生の頃久世くんという同級生がいた。
スポーツができて成績も良く好青年で、やんちゃなキャラクターではないけどクラスのリーダーの一人といった子だった。
小学校4年生の頃ご両親のお仕事の都合で海外へ転校してしまったが、高校にあがる少し前に日本に戻ってきて久々に再会をした。
アッシーという小学校の同級生の家に集まり、みんなでゲームをしていると不意に久世くんから
「昔からゲーム上手かったよね」と言われた。
すると周りの友人たちも納得しながら口々に「ああ、確かにうまいよね」と言い出した。
その日から「自分はゲームがうまいんだな」という自覚を持った。
褒められているようなそうでないような不思議な気持ちだったのを覚えている。
大学卒業して間もない頃、神奈川県の実家で暮らしながら都内で仕事をしていた。
実家の近くにたまたま予備校時代に仲良くなった友人が一人暮らしをしていて、
彼の家に上がり込んではそこでもゲームをやったりしていた。
当時は酒を飲まなかったので、それこそ明け方までゲームをして過ごすこともあった。
その際にも友人から「自分がプレイするよりもうまい人のプレイを見ている方が楽しい」と言われ
ひたすらゲームをさせてもらったことがあった。
彼の家によく集まる友人の中の一人は熱狂的なゲーム好きだったので、その彼と二人でゲームをして
家主の友人は嬉しそうにそれを眺めているという時もあった。
人がゲームをやっているのを見ているのが楽しいというのは中々不思議な感覚だ。
そんなことを突然思い出した。
当時はお金もなかったし将来に対する希望も見出せなかったけど
今にして思うと毎日が夢のような時間だった気がする。